芝浦電子工業の買収合戦

株式投資

芝浦電子工業(以下、芝浦電子)の買収を巡る最新状況を以下にまとめます。情報は2025年5月までの公開情報を基にしています。

概要

芝浦電子は、サーミスタや温度・湿度センサーなどを製造する企業で、自動車や家電、産業機器向けに世界トップシェアを誇る技術力を持つ。2024年3月期の売上高は約324億円、営業利益は51億円、従業員数は約4,300人。2024年末から台湾の電子部品大手ヤゲオ(YAGEO)と日本の精密部品メーカーであるミネベアミツミによる買収争奪戦が展開されている。

買収の経緯

  1. ヤゲオの敵対的TOB(2024年12月~)
    • ヤゲオは2024年12月に芝浦電子に対し、同意なきTOB(株式公開買い付け)を提案。初期の買付価格は1株4,300円で、2025年5月7日からTOB開始予定だった。
    • 芝浦電子はこれに反対し、特別委員会を設置して対応策を検討。ヤゲオの提案は企業価値向上に不十分と判断し、ホワイトナイト(友好的買収者)を探す動きに出た。
  2. ミネベアミツミの友好的TOB(2025年4月)
    • ミネベアミツミは2025年4月10日、芝浦電子に対し友好的TOBを発表。買付価格は1株4,500円で、ヤゲオの提案を上回る。買収総額は最大約676億円で、2025年4月23日から6月5日(当初は6月2日までだったが延長)までの買付期間を設定。
    • 芝浦電子はミネベアミツミの提案に賛同し、株主に応募を推奨。ミネベアミツミの狙いは、芝浦電子のセンサー技術が自社の「8本槍戦略」のセンサー分野に合致し、シナジー効果や技術の国外流出防止を図ること。
  3. ヤゲオの価格引き上げと争奪戦の激化
    • ヤゲオは2025年4月17日、TOB価格を1株4,300円から引き上げ(具体的な金額は情報により異なるが、5月時点で最大6,200円の可能性が報道)。買収総額は約823億円に達する見込み。ヤゲオは、芝浦電子の技術をグローバル市場に展開し、収益を拡大する計画を強調。
    • ヤゲオは外為法(外国為替及び外国貿易法)の懸念がないと主張し、買収後の自立性尊重や生産能力拡充を約束。

現在の状況(2025年6月2日時点)

  • 買収合戦の進展: ミネベアミツミとヤゲオのTOB価格競争が続き、ヤゲオが価格面でリードする可能性が指摘されている(例: 1株6,200円の提案)。
  • 芝浦電子の姿勢: 芝浦電子の葛西晃社長は、株主価値の最大化を重視し、ヤゲオの新提案があれば再検討の可能性を示唆。ただし、現時点ではミネベアミツミのTOBを支持。
  • ミネベアミツミの対応: ミネベアミツミの貝沼由久会長は「日本の技術を守る」ことを強調するが、TOB価格の「際限ない引き上げ」はしないと表明。

争点と今後の焦点

  • 技術流出の懸念: ミネベアミツミは日本の技術の国外流出防止を大義として掲げる一方、ヤゲオは外為法上の問題はないと主張し、グローバル展開による成長を訴える。
  • 株主の判断: 芝浦電子の株主は、ミネベアミツミの友好的TOB(1株4,500円)とヤゲオの敵対的TOB(最大1株6,200円)のどちらを選ぶかが焦点。TOB期間終了(2025年6月5日)後の動向が注目される。
  • 市場への影響: この買収戦は、日本企業が海外からの敵対的買収に直面するケースとして注目を集めており、M&Aにおける日本の国益や企業価値向上のあり方が議論されている。

注意点

  • ヤゲオの最新のTOB価格(1株6,200円)や具体的な進捗は、一部報道に基づく情報であり、正式な公表資料で確認が必要。
  • 芝浦電子は上場廃止となる可能性が高く、株主は市場での売却またはTOBへの応募を検討する必要がある。

結論

芝浦電子を巡る買収戦は、ミネベアミツミとヤゲオの間で価格競争が続き、ヤゲオが価格面で優位に立つ可能性があるものの、芝浦電子はミネベアミツミの友好的TOBを現時点で支持。日本の技術流出防止と企業価値向上のバランスが、今後の株主判断や市場改革の議論に影響を与えると見られる。

情報は2025年6月2日時点のものであり、最新の進展は芝浦電子やミネベアミツミ、ヤゲオの公式発表を確認してください

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